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ジェイレン・ハーツはスーパーボウル制覇で批判を封じ込められるか?
ちょうど2年前と同じような光景が、リンカーン・フィナンシャル・フィールドで繰り広げられた。
フィールドからロッカールームへと祝宴が続く。音楽が鳴り響き、選手たちは踊り、NFCチャンピオンシップゲームの勝利による興奮と混乱が入り混じる。そのロッカールームの右奥に、静かに立つジェイレン・ハーツの姿があった。彼は冷静に大きな葉巻をくわえていた。2023年、彼はMVP候補として脚光を浴び、服装もその勢いを象徴していた。サングラスに紫のパンツ、そして袖にジッパーが施されたマイケル・ジャクソンとプリンスを彷彿とさせる紫のレザージャケットを身にまとっていた。
All-Pro Eagles QB1, MVP finalist, NFC Champ
— Josh Tolentino (@JCTSports) January 30, 2023
24-year-old Jalen Hurts soaking in the victory pic.twitter.com/fJxi9e69J8
しかし、今年1月26日。ワシントン・コマンダーズを55-23で圧倒した試合後の彼は、まるでベテラン時代のマイケル・ジョーダンのようだった。プリーツ入りのカーキパンツに黒のモックタートルネック、そしてスタジアムに入る際に被っていたカンゴールハットの代わりに、逆さに被ったカンファレンス優勝記念の帽子をかぶっていた。彼のプレースタイルも同様に、派手な瞬間を除けば慎ましやかだった。
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— Philadelphia Eagles (@Eagles) January 27, 2025
イーグルスは3年ぶり2度目のスーパーボウル進出を決めた。再びカンザスシティ・チーフスと対戦することになり、昨年のスーパーボウルLVIIでの38-35の惜敗のリベンジの機会が巡ってきた。
今シーズン、異なる道のりを歩んできたハーツ
今シーズンのハーツは、これまでとは違った道のりを歩んできた。
開幕から2勝2敗と低調なスタートを切り、7つものターンオーバーを記録。これを受けて、イーグルスのコーチ陣はサクオン・バークリーを中心とした攻撃にシフトし、ハーツはゲームマネージャーの役割を担うようになった。11月中旬以降、彼がパスで200ヤード以上を記録した試合はわずか2試合。これにより、「イーグルスのパス攻撃は機能するのか?」「いざという時にハーツは本領を発揮できるのか?」という疑問の声が上がるようになった。そんな疑問に、ハーツはワシントン戦で明確な答えを示した。パス20/28回成功、246ヤード、計4つのタッチダウン。「うちのQBを見てくれ。俺は、みんなが彼を疑うのが好きなんだよ。」と、左タックルのジョーダン・マイラタは語る。「外野のノイズを遮断しようって話をよくする。でも、彼がそれを聞いてるのは分かるし、むしろ彼は疑われることで最高のプレーをするんだ。」
勝つことが全て
この勝利により、ハーツは2022年以降の先発成績を42勝12敗とし、この期間での勝率はパトリック・マホームズ(48勝10敗)に次ぐ2位となった。あと1勝すれば、フィラデルフィアに2度目のスーパーボウル制覇をもたらし、球団史に名を刻むと同時に、批判的な声を完全に封じ込めることができる。しかし、ハーツ自身はそんな批評には興味がない。「俺はスタッツのためにプレーしてるわけじゃないし、誰かの統計的な承認を求めているわけでもない。」とハーツは語る。「人はそれぞれ、プレーの“理想形”や“あるべき姿”を持っている。でも俺にとっての成功の定義は、それとは違う。俺の定義する成功とは、ただ勝つことだ。」
“何か”を持つ男
昨年12月、バークリーは家族にハーツのすごさを説明しようとした。「彼はどこへ行っても勝つんだよ。」チャンネルビュー高校(テキサス州)、アラバマ大学、オクラホマ大学での通算成績は38勝4敗。イーグルスでは46勝20敗。「うまく説明できないんだけど……彼は‘何か’を持ってるんだ。」とバークリー。「‘It’って何? って聞かれるんだけど、正直言葉にはできない。ただ、見れば分かるんだ。」
サウスカロライナ大学のシェーン・ビーマーHCは、その“何か”を初めて目にしたのは2018年の大学全米選手権だったと語る。当時ビーマーはジョージア大学のコーチだった。アラバマとの決勝戦で、ハーフタイムにニック・セイバンがハーツをベンチに下げ、トゥア・タゴヴァイロアを起用。結果的にタゴヴァイロアは逆転勝利を導き、翌シーズンにはアラバマの先発QBとなった。「普通なら、あの状況で不満を漏らしたり、チームメイトとの関係が悪化したりしてもおかしくない。でも、ハーツは違った。ベンチで誰よりもタゴヴァイロアをサポートしていた。あの時、この男はただ者じゃないと思ったよ。」ビーマーがその後オクラホマ大学に移籍した際、ハーツは転校生ながら即座にチームを掌握したという。「通常、新しいチームに移籍した選手は馴染むまでに時間がかかる。でも、ハーツは違った。わずか2日でリーダーになったんだ。」
スーパーボウル勝利で“批判”を黙らせられるか?
今シーズン、ハーツはプレースタイルの幅を広げた。プレースナップ時の判断力も向上し、ブリッツに対するQBRはリーグ2位(91.0)。さらに、**プレーオフでの通算ラッシングTD数はNFL史上最多(9)**を記録した。「彼のプレーに文句を言う人もいるけど、彼は勝ち続けてる。それが全てだ。」とブランドン・グラハムは語る。「結局、チャンピオンシップを取らない限り、外野は騒ぎ続けるんだよ。」
勝率.697は1970年以降で歴代7位。そして、あと1勝すれば彼は疑念を完全に振り払うことができる。
「スーパーボウルを制覇すれば、批判はすべて消えるはずだ。」
Mandatory Credit: espn.com Images
本記事は、元記事「espn.com 」を参考に翻訳・要約したものです。原文の内容はespn.com および著作権者に帰属します。